A社(法人向け軽食サブスク「SnackLoop」を運営する架空企業) · ケース演習
利益は増えるのに、現金が足りない
成長案をPLだけで評価せず、売掛金・在庫・設備を含む必要資金と段階導入条件まで設計するケースです。
与えられた情報
まず、事実をそろえる
- A社の2025年度は純利益800万円、営業CF500万円、設備投資1,000万円、財務CF400万円で、現金は1,300万円から1,200万円へ減りました。
- 新たに300拠点を年の途中から獲得すると、初年度売上は3,600万円、変動費2,160万円、追加固定費600万円で、営業利益は840万円増える見込みです。
- 成長により売掛金600万円、在庫900万円、買掛金300万円が増え、運転資本は1,200万円増えます。
- 専用棚・配送機器の設備投資800万円も契約開始前に必要です。
- 税等を考慮した純利益増を600万円とすると、成長部分の営業CFは概算で600万円−運転資本増1,200万円=マイナス600万円、設備投資後はマイナス1,400万円です。
自分で考える
次の一手を組み立てる問い
- この成長案は実行すべきですか。
- 利益と現金が逆方向になる理由を説明してください。
- 資金不足を避けるため、契約・在庫・回収・資金調達をどう変えますか。
分析例を見る(先に自分の案を作ってから開く)
成長案は単位採算が正でも、売掛金と在庫が先行し、設備代も開始前に出るため、初年度の現金を1,400万円使う。利益があることと支払能力があることは別である。
300拠点を100拠点ずつに分け、各段階で解約率、回収日数、在庫日数、欠品率を確認すれば、仮説が外れたときの資金流出を限定できる。
前受・口座振替への変更、仕入先支払条件、品目数の段階拡大で運転資本を圧縮し、それでも残る最大不足額に融資枠を合わせる。
取締役会には営業利益だけでなく、月次現金残高と最低必要現金を並べ、次の100拠点へ進む条件を承認してもらう。
関連する実践コンテンツ
参考・出典
- 企業会計基準委員会(ASBJ)「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」営業・投資・財務の3区分と、間接法による営業キャッシュ・フロー表示の根拠。
- 金融庁「EDINETについて」上場企業等の有価証券報告書や財務情報を確認するための公的な電子開示システム。