利益から営業キャッシュ・フローへ橋を架ける
利益が出ても現金が減る理由を読む
30秒要約
売上計上と入金、費用計上と支払の時期は一致しないことがあります。純利益から、非現金費用と運転資本の増減を調整し、事業が生んだ現金を確認します。
仕事の場面
こんなときに使う
A社は純利益800万円を計上したのに、現金が100万円減りました。社内では「利益の数字が間違っているのでは」という声が出ています。
考える順番
手を動かすステップ
非現金項目を戻す
減価償却など、利益を減らしたが当期に現金支出がない項目を調整します。
残すもの:利益からの第一調整
運転資本の増減を見る
売掛金と在庫の増加は現金を使い、買掛金の増加は当期の支払を後ろへずらします。
残すもの:営業CFへの影響額
投資と資金調達を分ける
設備購入、借入、返済を営業活動と混ぜずに確認します。
残すもの:現金減少の用途別説明
例で確認する:800万円の利益が100万円の現金減へ
状況
A社は減価償却400万円、売掛金増600万円、在庫増600万円、買掛金増500万円でした。
考え方
営業CFは500万円です。そこから設備投資1,000万円を払い、借入増と返済の純額400万円を調達しました。
結論
利益は事業成果として残りつつ、在庫・未回収代金・設備へ先に現金を振り向けたため、現金が100万円減りました。
よくあるつまずき
- 売掛金の増加を売上成長だけの良い兆候と見なし、回収条件を確認しない。
- 設備投資による現金減と、本業の赤字による現金減を同じものとして扱う。
3分ミニ演習
純利益から現金増減までを四則演算でつなぎます。
- 非現金費用を足し戻す。
- 売掛金・在庫・買掛金の増減を反映する。
- 投資CFと財務CFを加える。
回答例を見る(先に自分で考えてから開く)
800+400−600−600+500=営業CF500万円。500−1,000+400=現金100万円減。利益と現金の差は、運転資本と設備投資の先行による。
関連する実践コンテンツ
参考・出典
- 企業会計基準委員会(ASBJ)「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」営業・投資・財務の3区分と、間接法による営業キャッシュ・フロー表示の根拠。
- 日本取引所グループ「連結キャッシュ・フロー計算書」営業・投資・財務キャッシュ・フローと現金増減の実際の開示例。
- 企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準」収益の会計処理・開示を確認するための現行基準。